リハビリ進捗「アパートメント」レビュアーやってます |
「男の体」に対する恐れ。
「女こどもは存在を脅かされ搾取される」という価値観を最初にわたしに教えたのは、「友情!努力!勝利!」を三大原則に掲げる「少年ジャンプ」に掲載されていたマンガ達だった。強者弱者の関係性において搾取されるのは勿論女こどもに限ったことではないが、「男の体が怖い」という感覚は、程度はさておき大方の女性には肯けるものではなかろうか。
絶対の忠誠を誓ってくれる世界最強の存在を味方に付けられたら安泰だろうが、そんな夢のような話はない。
どんなに打ち解けていると思っていても、他者である限り利害が相反すれば攻撃されもする。
お互いの距離を詰めるほどに、「侵略者」の脅威と直面することになる。
もっとも近しい肉親から日常的に殴られていたならば、反射的に湧き起こる恐れをどうしたら抑え込めるのだろう。リードは、したいことを全てこちらに伝えてくれる。私の嫌がることはしない。
「伝える・受け止める」が原理原則のタンゴの世界。
強者が弱者を搾取する世界ではなく、互いに異なる人間同士が互いの取説書を読み解き合うことで成立する世界へ、みきさんは足を踏み入れた。さて、タンゴの世界よりもやっかいで複雑な現実の世界において「時にあなたを傷付けるかもしれないけど、あなたととことん向かい合うよ」という関係をどう築こうか。
即答できるはずもないその解は、啓かれたからだが導く先にきっとある。
「恐れを乗り越えたい」という、生を謳歌しようとする人の、実にまっとうな欲求をここに見ている。
CRAZY TANGO DIARY #5 アブラッソが叫ばせる
ことばを取り戻す試みのさなかに産後2度目となるレビュアーの依頼をいただきました。